News Others Topics 2022年12月18日

当社の商品基準から外れたウエディングドレスを、山野美容専門学校へ寄贈
曽我代表×山野愛子ジェーン氏 対談が実現しました

経年により当社の商品基準をクリアできなくなったドレスを山野美容専門学校(本部:東京都渋谷区代々木、校長:山野愛子ジェーン)に寄贈。後日、対談する場を設け、「着物をもっと身近なものにしたい」当社に通ずる着物への想いやZ世代への想い、SDGs、女性の働きやすい環境についてなど、現代社会でも関心の高い話題についてインタビューさせていただきました。

寄贈の経緯
デザインの古さや経年などから当社の商品基準を満たせなくなったドレス。現場の商品としては難しくとも、まだ使うことのできる物は次世代の育成にとの想いから、これまで様々なウエディング業界の教育現場へ寄付してまいりました。また寄贈後、当社の商材でもある着物に関する教育を積極的に進めている同校校長 山野愛子ジェーン氏との対談が11月15日(火)に実現いたしました。

寄贈内容
(1)寄贈日:2022年10月7日(金)
(2)寄贈先:山野美容専門学校 校長:山野愛子ジェーン
(3)寄贈者:株式会社曽我 代表取締役:鈴木康元
(4)寄贈品:ウエディングドレス

今後について
当社の商品基準を外れてしまった着用可能な衣裳につきましては、積極的に次世代へと繋いで行き、環境にも優しい循環型のサステナブルな取り組みとして可能な限り継続していく予定です。


【鈴木代表取締役×山野愛子ジェーン校長対談】
チャンスを与え、チョイスを増やし、チャレンジによってチェンジを生み出す

鈴木代表取締役、山野愛子ジェーン校長のほか、曽我グループの美容部門〈bittersweet beauty〉望月店長がインタビューに同席いたしました。


学生や若いZ世代の特徴・特長を生かした授業など、取り組み(環境づくり)について教えてください

株式会社曽我(以降S):当社の美容は着付けからヘアメイク、お祝い行事としては婚礼、七五三、成人式など、基礎を習得してから全てが「トータルビューティ技術」として完成するまでには10年程度と時間が必要な分野と捉えています。若手でも活躍できるブライダルフォトスタジオ事業もありますが、若い方が仕事を長く続けていける秘訣やお考えなどお聞かせください。

山野愛子ジェーン校長(以降Y):山野学苑では昔から国家試験以外にも学生にチャンスを与えてあげたいという考えで、他校ではできないプログラムを設けています。それはカリキュラムの中に入っている内容はもちろん、そうでないものもあります。外部からイベントの企画をいただいた場合にはお引き受けすることが多いです。例えば最近では、コロナ禍において中断していた時期もありましたが、アメリカンスクールなど学校に出向き、日本在住の外国人の方々と交流しながらヘアメイクや着物の着付けを実践・経験をするというプロジェクトがまた復活しました。他にも今年はミスユニバースの皆さまをモデルに、ヘアメイクと撮影に参加しています。

入学式やオープンキャンパスでもお話ししているのですが初代が提唱した『美道(びどう)』という五大原則「髪・顔・装い・精神美・健康美」と、「Chance(チャンス)」「Choice(選択)」「Challenge(挑戦)」そして「Change(変化)」の『4つのC』を大切にするよう学生に伝えています。まずは「チョイス」。山野を選んでくれてありがとうございます。山野を選んだことで次に「チャンス」が沢山生まれます。その中から選んだチャンスを掴むために頑張って“チャレンジ”する。すると自分の技術や考え方の変化だけでなく、自分の将来のため美容業界のため、または世界のための「チェンジ」が生まれてくるのです。

今の若い方(学生に)伝えている、または大切にしていることは何かありますでしょうか

S:いわゆるZ世代と呼ばれる若者たちの価値観は、昔とはだいぶ変わり、企業定着率が厳しくなってきているようです。世代によって接し方を変えることをあまりしたくは無いのですが、俗に『Z世代対策』と呼ばれている企業と新卒社員との関わり方が、弊社でも課題になっているところです。ちょうど今学ばれている学生の皆さんが社会に出ていくにあたり、特別にお伝えしているまたは大切にしていることは何かありますでしょうか?

Y:そうですね。やっぱり『美道』の中の“精神美”と“健康美”に関わる部分ですけども、昔はね、YAMANOの学生は“辞めない”っていう印象がありました。ですが、現代は何でもスピーディーで、待つことを嫌がります。何かあると辞めてしまう方がかなり多くなってきています。今の人たちもそれぞれに辛いことや、耐えたこともあるとは思いますが、「感謝の気持ち」を忘れずということを学生には常に伝えております。

今、生きているということを大切にすること。誰しもがそれを身近に感じることは、なかなか難しいですが、ハートフルな人に育てなければと、必死で試行錯誤しています。やはり「仕事があって当たり前」じゃなくて、心を込めて毎日仕事をしてほしい。ただ稼ぐ目的というだけではなく、人生において仕事はやっぱり好きな方がベストを尽くし努力をするものですよね。

S:今目の前にある仕事に手一杯で、なかなか「人のために働く歓び」を感じてもらえない方もいるところは、非常にはがゆいといいますか。お客さまが笑っている姿や幸せな姿を見ると、自分も「嬉しいな」と思うじゃないですか。それを感じられたら「人のため」に仕事をしているのだなと、絶対思えると思うのです。スタッフたちにはそれを早く感じてもらいたい。言葉で教えるよりも、感じてもらう方がより強く伝わるのではないかと、その点をとても大切にしています。そのためにはある程度の時間をかけて多くのお客さまの幸せに携わらせていただかないと経験を積むことが難しいものですから、経験をする前段階で「ちょっと違うかも」と、離職されてしまう方もいらっしゃるので当社としても課題になっています。

技術力とコミュニケーション力をどのようなバランスで指導していますか
サービス業として学生(若い方)に伝えたいことは

Y:昔は技術を一生懸命に勉強すれば上手くなると、どこの学校もそうだったかもしれませんが、今は何と言っても「人間性」と「コミュニケーション力」を重要視しています。実は技術というものは、お店に入ってからでも身に付くものです。ですが美容師になるには、先に国家試験を通らねばならないので、カリキュラムも色々変えながら国家試験対策もしています。
お店に入ったばかりの時は、技術が周りよりは一番低いかもしれない。当然まだカットもできないですし。でも技術ではなく、挨拶でなら勝てると思うのです。YAMANOのどの先生にもまずは挨拶という教えを学生にしていただいています。

美容師の技術には「着付け」があります。2022年成人式の着付けの依頼で、大先生はもちろん技術が上手いのだけれども、年配の方よりは、感覚の近い若い着付け師に着せてもらって、今風にヘアメイクしてもらいたいという要望が多く寄せられました。そこで山野流の着付け師の皆さまからは、YAMANOの学生への依頼が増えています。

S:今は七五三の季節ですが、当社も関東でいくつかの神社とお付き合いをさせていただいておりまして、家族イベントを今まで控えてきた分、今年は盛大にされる方が大変多くいらっしゃいました。お子さま方の着付けのご希望をいただく際に、あまり上の方じゃない方がいいですとリクエストされる方も中にはいらっしゃいました。若い方に着付けをしてもらうと不安だという価値観が少しずつ変わってきているのを感じています。

日本の伝統文化と着物について

S:当社は貸衣裳業ですが、今は着物の織り職人や染め職人の方々も年々減る一方で、刺繍や箔なども国内での作業はかなり難しい時代になってきています。それら日本の技術を、海外で教えている方もいらっしゃいますが、日本の国内で残していきたいものですね。

Y:本当にそうですね。洗える着物のような気楽で量産型の着物と、まさに「Made in Japan」の、職人が作る芸術的な着物と、両方あってもいいのではと私は思っています。でもやはり手作業で作られる日本製の着物は特に素晴らしく、芸術の域に達していて美術館に展示されていますし、ぜひ日本で守って行ってほしいです。

S:近年ではインクジェットプリントの技術を使った新しい染め方もありまして、モダンで素敵な色柄の着物が、安定した品質で量産が可能になり多くの方が手に取りやすい価格であるのも魅力です。正絹(シルク)の手描き・手染めの着物も創業時から多く扱っていますが、お客さまのニーズに応じてご提案ができるよう、どちらも扱っていきたいと考えています。

Y:多くの方がその価格や保管・維持する手間で着物を諦めてしまう傾向にありますね。二十歳の子たちに、前回いつ着物を着ましたか?と質問をすると、「七五三」という回答が返ってきます。小学生や中学生の頃から学校の行事やカリキュラムとして、浴衣でもいいので着物を着ることがある程度習慣化されていれば、着物はそれほど大変なものではないと理解できるのではないかと思っています。
 
S:そうですね。着物がもっと身近なものになればいいのにと私もいつも感じています。日本の着物自体、メンテナンスさえしておけば長く使っていけるというSDGsの1つであり、それこそ着物の良さでもあると思います。

SDGsへの取り組みや環境への配慮、施策について

Y:美容業界で一番話題になっているのは、「トレーニング用カットウイッグ」の使い方ですね。国家試験では毎年1つカット課題のパターンがありまして、その練習をするのに学生1名あたり30〜60台を使う必要があります。環境問題を思えば、このようなウイッグの使い方はもうやめなければならないです。5年ほど前から国家試験でのカットをやめようという提案をしてきました。そうなればワンパターンではなく色々なパターンを各学校に任せて勉強をすればいい、卒業したら次は就職先の美容室に任せればいいという考えですが、反対されている方も中にはいらっしゃいます。また、ウイッグの廃棄については、どこの美容学校にとっても大きな問題になっています。もちろん海外でも同様です。

S:海外ではどうされているのでしょうか?

Y:海外は国家試験を含めて実際の「人間」を使って練習しています。もちろん人形も使うこともありますが、サロンの新人であれば、例えばタイムカードで最初の0から1,000時間など時間を区切って無料でカットするなどの方法が取られています。日本では有資格者でなければ人間にカットをしてはいけないですが、アメリカでは事情が異なるためこのように人間で練習をすることが多いですね。

S:当社も長年貸衣裳業を営んでおりますので着物を多く持ち合わせておりますが、長く着る事ができるとはいえ着物もファッションですので、色・柄・デザインはその時代ごとのトレンドがありまして。まだまだ現役で使えるものの、中にはどうしても印象が古くなってしまうものも出てきます。そのような商品を廃棄してしまうには忍びないということで、商品のリメイク企画が生まれました。

企画の対象となったのは卒業式に着用する袴です。今よりも主流だった時代に大量に仕入れた無地で紺色の袴の縫い目を解き、ここ数年流行っているレース素材をデザインの一部に取り入れるなどのリメイクを試みました。出来上がったサンプルを来年卒業予定の若いお客さまにご覧いただいたところ、とても反応が良く、今後リメイク商品の企画を本格的に進めようという話になっています。

各種メンテナンスも含め、社内スタッフに幸いにも洋裁や和裁ができる人材がおりますので、人にもスポットを当て、得意とする技術で活躍していただきながら、上質な商品を長く大切に残していこうという考えのもと「人」もたてながら、「商品も生まれ変わる」ことができる取り組みです。

Y:素敵!That‘s nice!

ジェンダー平等、女性の働きやすい環境について

S:女性の社会進出が着実に進んでいますが、当社も95%が女性のスタッフです。社として様々な取り組みを試みている最中ではあるのですが、女性が働きやすい職場づくりのために大切と考えている点を教えていただけますか?

Y:まだまだそうなっていない部分もあるのですが、理想としては「話せる場を」作ることでしょうか。そしてご自身の意見や、否定的に感じていることを言える人はいくらでもいらっしゃいますが、批判を言うだけではなく、それを解決するための建設的なアイデアを一緒に出していただけると、その意見を認めやすいですね。

これからは男女問わず平等に、相手をリスペクトすることが必要ですし、LGBTQにも少し関わってくると思うのですが、女性だからしない、男性だからしないということではなく、ひとりの「人間」としてそれぞれが与えられた役割に対し責任を持って全うしなければなりません。性別で役割をはっきりと線引きしてしまうよりは得意分野を活かしていければ良いと思います。


プロフィール
山野愛子ジェーン氏
米国ロサンゼルス生まれ。祖母山野愛子のもと「美道(びどう)」を習得。1984年NYカーネギーホールにて二代目山野愛子を襲名し「美道」を継承する。「髪・顔・装い・精神美・健康美」のトータルビューティを指針とし、豊かな感性と優れた国際感覚で美容界のリーダーとして美容教育と着物文化の普及に専念している。現在、学校法人山野学苑理事長、山野美容専門学校校長、山野美容芸術短期大学学長・教授、一般財団法人国際美容協会理事長、山野流着装宗家、公益財団法人日本国際問題研究所評議員。