News Others Topics 卒業袴 2023年02月27日

〈Winged Closet×専門学校日本ホテルスクール 産学協同〉学生のやる気と、マネジメントスキルの向上を2022年度も応援しました

Winged Closetは専門学校日本ホテルスクール(所在地:東京都中野区、校長:石塚勉、以降JHS)の夜間部ブライダル科2年生の授業カリキュラムに賛同し、学内で行われる当社の卒業衣裳展示会において、学生と展示会を共同運営。翌年より社会人になる学生の将来を見つめ、スキルの向上に寄り添っています。2023年2月17日(金)JHS校内にて、担当教員の皆さまとこの産学協同プロジェクトのメリット、開始した経緯やその想い、企業として学生に求める人物像など改めて対談する機会をいただきました。

JHS『卒業式袴展示会』カリキュラムとは

授業で学んだ集客のアイディアやマネジメント手法を実際の販売に活かし、学生自ら需要の把握、集客、販売、売上管理に貢献していただいています。当社は展示会での商品提供のほか、事前授業を設け接客スキルや商品知識のトレーニングを担当。産学協同のカリキュラムは2022年度で7期目。

2023年1月26日(木)には、ホテルメトロポリタン エドモントでの2022年度JHS卒業発表会にも招待いただき、当日は『卒業式袴展示会』カリキュラムの担当学生による最終報告も行われ、産学双方の今後の課題を出し合うなど、世代を超え交流を深めました。

専門学校日本ホテルスクール2022年度卒業発表会の様子
専門学校日本ホテルスクール2022年度卒業発表会の様子

株式会社曽我×専門学校日本ホテルスクール 産学協同プロジェクト 対談

左より 日本ホテルスクール 教務室 中村室長、山本副校長

産学協同の『卒業式袴展示会』を始めた経緯や目的を教えてください

山本副校長(以降Y):夜間部の学生はカリキュラム上、企業様との接点が少ないため機会を設けた経緯があります。

中村教務室室長(以降N):元々経営を楽しく学んでもらう為、近所のラーメン屋さんの売上や経費を考えさせてみたのですが、働く経験の少ない学生たちには自分たちの労力が経費だということを理解することは難しく、リアルを経験させたかった。そんな時に校内で開催されていた卒業衣裳展示会(外部企業の出張販売)が目に入り、ご相談したのがきっかけです。

それと、夜間部は学校にいる時間が短い上に、授業の合間の休憩時間が1日にたった10分しかなく、通学する2年の間、友達と学校で話せる時間がごく僅かなんです。貴重な学生時代に「友達と一緒に」楽しんで学べる仕組みが欲しいなぁ、と。それで実現したのが2016年の9月でした。

Y:初めはさすがに学生に企業の実際の売上を任せるのは厳しいのではないか、と思っていましたが、意外にも、学生からの反響がすごくありまして。本当にありがとうございます。

専門学校日本ホテルスクール 山本副校長

—プロジェクトを通じて感じたこと

普通の授業だけで終わらせずに、短いカリキュラムの中で経費や売上なども考えながら営業販売する実践(学び)の場を作りたかった〈JHS〉

塚本先生(以降T):経費や売上は企業に入ってから(働く上で)は、避けられない部分です。実際やってみると自分の売り上げた単価など、嬉しそうに報告しに来てくれます。自分の接客態度によっては、他社に逃げてしまうなどさまざまな経験を積んでいるようです。N:初年度、立ち上げの時は学生に「なんで私たちが企業の接客をやらされているのか」というような声が多く、理解して貰う事に時間がかかりました。

N:初年度、立ち上げの時は学生に「なんで私たちが企業の接客をやらされているのか」というような声が多く、理解して貰う事に時間がかかりました。

左より 塚本先生、中村先生、山本副校長先生
左より 塚本先生、中村先生、山本副校長先生

SOGA津吉(以降ST):学生の皆さんのためにどのような事でお力になれるのか。初年度は実は当社も何を求められているのか探り探りでした。試行錯誤し、出てきた課題点を生かした翌年からはかなり流れもスムーズになったのではないかと思います。

左より当社 担当営業 津吉スタッフ、トレーニング担当 地引スタッフ

SOGA地引(以降SJ):プロジェクト自体に伸び代があると言う意味でも、毎年課題は尽きませんが、学生は経験や知識をまとめ、後輩に引き継ぎ続けてくれており、毎年ゼロから教えることをしなくても、基本的なことは学生間で補ってくれています。その成長たるや年を追うごとに見違えるほどで、私自身の仕事のやり方を見直さねばと身が引き締まる思いです。

今年はSNSでの情報発信や、お客さまの少ない時間を利用してInstagram LIVE(インスタライブ)で台本もなしに着物と袴のコーディネートを紹介する動画を配信するなど、とても驚かされました。プロモーションのアイディアも時代と共に確実に変化しています。インスタライブは特にこちらからお願いしたわけではなく、学生の皆さんからやろうという声が自然と上がり、あれよという間にその場で形になりました。

プロジェクト向け 接客トレーニング担当 地引スタッフ

ST:夜間部学生が他のクラスの学生に販売する。顔は知っているかもしれませんが、話した事もない人に、「いらっしゃいませ」の第一声をかける事。まずはこれが高いハードルのようです。回数を重ねることで慣れて緊張は解消されるようですが、ここまで早く成長できるのは実践だからこそです。

単価や商品のご案内の方法など毎回どのように教えたら理解しやすいか、責任を感じつつ教えていますが、この経験が今後サービス業に就く際に少しでもお役に立てているならば、嬉しいですね。

N:今年は例年以上に、展示会の事前告知活動から頑張っていて、Q&Aや人気のヘアスタイル例などの情報を事前に調べ、SNSを活用して発信するなど、自主的に自分たちで作戦を考えて積極的な準備をしていましたね。得られた効果や反応から、展示会前から成果を生み出すためのマネジメントが始まっている事も実感できたのでは無いかと思っています。

学内向けに学生自ら作成した集客・販売促進のためのInstagram

JHS 袴展示会【2022】 https://www.instagram.com/2h_jhs

—フィードバックや卒業発表会での報告の、背景にある想いは?

学生にとって卒業発表会で報告することは、成功した達成感や満足感で終わらせず、振り返りの時間を設けることで更なる成長につながると考えています〈JHS〉

T:このプロジェクト自体、賛同企業の協力のもと実現しています。何よりも先ずは「成果」や習得した「実感」を報告することで、参加企業へのお返しと感謝の気持ちを伝える場とさせていただいています。

N:数字とか売上と聞くと、学生はみんな苦手意識があるようですが、社会に出たら絶対に避けては通れないものです。このプロジェクトで実際に“数字”と対峙し、その制約があるからこそ工夫するし、結果がでれば楽しくなる。そういった体験を大事にして欲しいですし、その学生たちの成長の様子を直接お世話になった企業様に報告をしたいですね。

学生から寄せられた感想コメントの数々

SOGA鈴木社長(以降SS):出来なかった事が出来るようになる。掛け替えのない成功体験ですね。やはり楽しく仕事をする経験は重要ですよね。

T:売上については、人生の中で全く経験のない未知のものなので不安になるようですが、契約がとれると嬉しそうに今日は何件取れたよ!と報告しに来てくれます。成功体験から売上に対する興味も出てくるのではないかと。

左より 塚本先生、中村先生

 —Z世代の特徴と学生に求めるもの、必要な力、教育について

「寄り添いたいと思う気持ち」は、実務経験が少ない方にも持っていて欲しい〈SOGA〉

SS:我々の業界は相手の気持ちを汲み取るところから始まると思っています。ですので「共感力」がとても大切だと考えています。何かが不安だったり、選べなくて悩んでいたり、気に入った衣裳が見つからなくて困っていたり。そういったお客さまの気持ちに寄り添える事。入社したての方は経験が少なく難しい部分も多いかもしれませんが、「寄り添いたいと思う気持ち」は、経験が少ない方にも持っていて欲しいです。

左より 当社 鈴木取締役社長、津吉スタッフ

もっと「自分から踏み出す」勇気を〈JHS〉

Y今の子達はとても気持ちが優しくて、色々な事を気にしながら生きている子たちが多い。「自分から踏み出す」勇気を出して欲しいですね。勇気がある子はどんどん外へ出て行きますが、無い子は踏み出すまでに時間がかかってしまうように思います。「いらっしゃいませ」の一言がなかなか出ないということでも、如実に現れていますよね。

それと、言語化する能力ですね。私の見ている白と相手の見ている白は違うかもしれない。きちんと言葉にしないと実は接客って出来ないように思います。

SSそれができる人とできない人の差はなんでしょうね?

Nやはり今に至るまでの小さな成功体験の積み重ねなのではないでしょうか。

Y:ですので、今からでも出来ることが何かを考えた時に、周囲の人が成功したことを褒めて、認めて評価してあげるという繰り返しなのかもしれませんね。

STとにかくやって、自分が楽しいと思うまでが大変ですよね。出来ると思い始めれば、接客でも自分から率先してどんどん声をかけてくれています。展示会でも初日と慣れてきた後半とでは表情の明るさも全く違うんですよ。踏み出せた子は自信がついて、どんどん表情が良くなってくる。

「声はかけられなくても笑顔でいよう」とアドバイスしていました。

知識を暗記するだけではなく、体得した知識同士を組み合わせ、さらに新しいものを生み出す能力が大事な時代に〈JHS〉

Yそもそも日本の教育自体も変わってきています。調べようと思ったらネットに情報は出ていますし、ツールさえあれば「覚える」ことに意味がなくなっている時代で、おそらく知識を持っているだけでは意味をなさなくなってきています。

専門知識が全くないと接客はできないですが、でも知識単独では実はあまり役には立っていなくて、何かの知識と他の知識を繋げて使いこなす能力が大事。 授業で学んだ知識をなんとか繋げようとして行っているのがこの袴の展示会プロジェクトで、ワークショップとして捉えています。特に接客の仕事はチームワークなので、ディスカッションしてみんなで協力して達成するということが、より一層必要になってきていると感じています。

異なる世代の方とのコミュニケーションでストレスを抱えてしまうZ世代〈SOGA〉

SS今現在学生であるとか、就職活動をしている世代は、私の世代とは明らかに違うのを感じています。昔はよくワークライフバランスと言う言い方をしていましたが、今は生活の一部として仕事を楽しんでするような、ワークライフインテグレーションと言いますか。

自分の価値観に基づいて行動していて、会社に所属していても自分をどう高められるか、成長できるかどうかに重きをおいている方もいらっしゃる。先輩・同僚と楽しく達成感を得られることに価値を見出す方もいらっしゃいます。その辺は昔と異なるように思います。

あとは当社の業務上での話になりますが、新卒のトレーニング中は問題ないのですが、いざ一人で接客を開始し始めると新郎新婦を始め、そのお父さまお母さまなど、10歳以上年上の方とのコミュニケーションが不安になり、どうしていいか分からないといったケースが多く、苦手意識やストレスを抱えてしまうようです。

Z世代は上の世代と上手くやる事が「得」と分かれば、「いい感じ」に乗り越えられるはず〈JHS〉

Y:今の子達は高校生からアルバイトをしている事が多いので、実はいろんな世代の人たちと接しています。昼間部の学生は、実習で8週間外部企業にお世話になるのですが当然先方で関わる人たちが同世代とは限らず、その期間はうまく人間関係を築かないとならない。だからこそ人間関係をうまく築くことを覚えて帰ってきます。上の世代の人たちとうまくやった方がある意味「得」で効率がいいことをリアルに理解できれば、「いい感じ」に乗り越えられるのではないかと感じています。

AIなどデジタル化が加速しているこれからのサービス業、「おもてなし」の重要性は?

徐々にDX化やAI導入が進むサービス業でも、人にしかできないことは多い。SNSで発信しているのは商品が良いだけではなく、つい伝えたくなる“おもてなし”が心に記憶されているから。〈JHS〉

SS:七五三の衣裳選びの話なのですが、主役の本人の着たい着物と、お母さま、さらにお祖母さまの着せたい着物の意見がそれぞれ分かれてしまった場合。色のキーワードを3種類入れれば、ロボットやAIはその通りの情報を集約して提案できるかもしれませんが、その3つの意見を経験と知識でうまく折り合いをつけて、皆が納得いく着物に落ち着かせられるコミュニケーション力はやはり“人”なんですよね。ウエディングの衣裳選びでも当然同じようなことが起こり、解決できるのは“人”です。

Y:設備投資したならば前に進むしかないわけですから、可能な部分はデジタル化やAIに頼って良いと思いますが、“人”が行う想像力を働かせた提案がお客さまの納得を生み出し、単価アップに繋がる訳ですから、やはり結局は“人”ですね。

「ハレの日」が誰にとってもより良き1日になるよう、お祝いをしに集まる方をも尊重し配慮した衣裳選びができるのが、当社の接客です〈SOGA〉

SS:AIもですがコンビニ形式でサイズや種類の展開を用意しておいて、お客さまに選んでいただくといった方法も選択肢の1つではあるのですが、やはり人力に頼らざるを得ないこともまだまだ多い。“人による接客”は多分完全には無くす事のできない“技術”なのだと思います。「ハレの日」が関係者の誰しもにとってより良き1日になるよう、ご本人さまだけではなくお祝いをしに集まる方をも尊重し配慮した衣裳選びができるのが、当社の接客です。

左 専門学校日本ホテルスクール副校長 山本氏、右 当社 鈴木代表取締役社長

社会人として好ましくない言葉遣いや態度を注意できる存在は、時代の変化とは裏腹に今でも現場に必要。挨拶は年長者が率先してすることで、挨拶が“当たり前”の感覚に〈SOGA〉

SS:私が入社した30年くらい昔は50代後半〜20代30代の、お母さん、お姉さん、妹など、まるでの家族のような構成でスタッフがおり、言葉遣いや礼儀に厳しいお母さんのような方が即座に口うるさく注意していたのですが、最近は年配の方がかなり減ってしまったこと、それと時代的にコンプライアンスが厳しくなったこともあり、なかなか言葉遣いや態度を厳しく正す事が難しくなっています。でも、思い返せばそういった厳しくも優しい存在が身近にいたことで、正しい礼儀が身についたように感じます。“怒ること”は怒られる側だけでなく、怒る側も疲れるのですが、そういう役割の人も必要だな、と。

Y:甘やかされる事が全てではないですよね。厳しさが実は優しさということもあります。現代は、家庭でも怒られ慣れていないと言いますか、たとえ感情的に怒られることがあったとしても、フラットに注意するというのはする側も慣れていないし、いずれ(大人側が)そういう怒り方や注意指導の仕方を習う研修が増えるかもしれませんね。